出版界が過去5年間マイナス成長ということで、出版社も、取次も、書店も出版関連企業は一様に危機感を抱いています。
いつリストラを実行しなければならないか、いつ倒産の破目に陥るか、皆、戦々恐々としているのが、現在の出版界の実情ではないかと思われます。
日本では「ハリー・ポッター」が、'99年12月に刊行された時、原作のイギリスや、アメリカでは第2巻がすでに発売されていて、100万部とか200万部とか、大きな部数が売られていると言われていましたが、日本ではまだまだ世間的には関心を持たれていませんでした。
皆さんがご存知のように、日本では翻訳ものは、なかなかベストセラーにするのはむずかしいと云われていました。それから2年と1ヶ月経ちました今日、日本でも1巻、2巻、3巻と発行されて、3巻合計で間もなく、1,000万部を突破するという勢いになり、出版史を書き替えるという状況になりました。
新年を迎えて、業界内では何回も新年の挨拶の会が催されていますが、私も5,6回出席しましたが、どの会でも話題は「ハリー・ポッター」に集中しています。この本を読んだ方は、お解りいただけると思いますが、この本の内容はマグルと云われる普通の世間の出来事と、大部分が魔法の世界の出来事が中心になっています。
私もこの仕事に携わり、取次や書店と部数を取り決めしていますが、まさに魔法の世界の出来事のように感じています。
「ハリー・ポッター」を出版している出版社の社員が女性だけで、社長を含めてたった4人です。私は、販売・製作・宣伝というマーケティング全体を担当しています。アウトソーシングで活動する私共の会社から、3人と他に編集やデザイン等を担当する、これもアウトソーシングの人達が3人と、極く極く小人数でこの大事業を遂行しています。
昨年12月に第1巻目の映画が封切られて、映画の方も過去の記録を塗り替える大盛況に推移しています。こちらの方も魔法をかけられているとしか考えられない程です。
映画の方は、アメリカのワーナーブラザーズの作品ですが、映画の撮影と同時進行で、ワーナーブラザーズがライセンスの管理をしながら、約50アイテムに及ぶ、「ハリー・ポッター」関連のグッズが作られ、映画の公開時期に合わせて発売されました。「ハリー・ポッター」のキャラクター商品は、衣料品から文具、玩具、清涼飲料水など多岐にわたり、ことごとく販売成果を上げています。何れの業種の各会社の方も、この売上の数字には仰天している様子です。
この本は、初めにお話しましたように、日本では現在3巻まで出されています。イギリス、アメリカをはじめ世界の各国では、現在4巻まで出されています。これまでに日本を含めて全世界での発行数は1億2千万冊と云われています。この数は出版物の発行数としては、キリストの聖書と、毛沢東語録に次ぐ大きな数です。しかも、この本がこれからまだ続々と発行されて、全巻完結は7巻といわれています。映画の方も、本の刊行に合わせて毎年1巻ずつ作られていきますので、この相乗効果で本がどこまで売れて行くのか夢が一杯に広がります。
さて、終りになりますが、私はこの本が日本では、大変失礼な言い方になりますが、講談社とか、小学館とか、集英社やその他の有名出版社から出版されなかったことは良かったと思います。小さな小さな無名の出版社が、一生懸命に翻訳して、編集して、小さな販売力しかない会社に、販売とかマーケティングを委ねて、全力を挙げて活動したことが良かったと確信しています。
私は今、「ハリー・ポッター」の静山社だけでなく、比較的新しい小さな出版社の販売を代行する会社を経営しています。いま代行を引受けている会社は、15~6社あります。
昨年は、「ハリー・ポッター」以外にも、75年の歴史がある求龍堂の仕事で、「12番目の天使」という文芸書を、約70万部発行するベストセラーに仕上げました。
今年は現在、中村天風師の話をまとめた、日本経営合理化協会の発行する、「君に成功を贈る」というビジネス書の販売に精を出しています。現在3万部を超える部数を販売しています。
皆様のお力添えをお願いしたいと存じます。ご静聴をありがとうございました。
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